連載自伝   あっち・こっち・丁稚(でっち)

この自伝は、私・奥田 誠が若い頃、商売の修行で大阪へ丁稚に行っていた時の様子を短編でご紹介するものです。失敗や恥かしい事ばかりですが、全て事実です。順次追加していきますので、お楽しみ下さいね。

連載 自伝  あっち・こっち・丁稚 (でっち)

 

この自伝は私(以後 ポン吉)が大阪へ商売の修行に行っていた時の

色々な出来事を、毎回少しずつ紹介するものです。(失敗や恥ずかしい事ばかりです…)

第1話  いざ大阪へ!

名古屋の大学を卒業したポン吉は、自分の意志で大阪へ行く事を

決めていた。商売の勉強なら大阪の厳しい所でやってみたいと思って

いたからだった。修行先は全国から丁稚を受け入れて関西で30店舗

を展開する、宝石・時計・メガネのミノルという会社であった。

社長は一代で会社を発展させた努力人で、その厳しさと人柄には

定評があった。

 (丁稚先の本社は大阪府門真市)

 

ポン吉はまず1年間は、午前中に宝石ビジネスの専門学校で勉強し、

午後から配属された店舗で仕事という生活を送る事になり、給料も当然、

丁稚給で月に8万円程であった。家賃1万3千円のボロアパートを探し、

6畳一間大阪・門真市での丁稚生活が始まったのである。

 

ポン吉の1日は朝、7時ごろ起きて、近くのパン屋でパンをかじり、

45分ほどかけて京阪電車と地下鉄を乗り継ぎ船場(大阪の問屋街)

にある宝石の専門学校へ行く。そこで宝石の鑑定・鑑別・彫金・デザイン・

経営学などを学び、お昼の弁当を食べて、配属の店へ向かうわけだ

 

2時ごろ店に入り、掃除、整頓、接客、雑用と8時まで働く。店を閉めて、

社長の待つ本部へ店長と共に行き、売上報告をして、社長の指示により、

色々な仕事をする。

早くて10時半、遅くて12時位まで作業や掃除、売り出し準備をするのだ。

食事はろくに食べてない、仕事が終わると、真っ先に銭湯へ行く。

夜12時で閉まってしまうから

 

ポン吉の同期で5人、会社全体で10数名の丁稚が毎日こうやって働く、

休みは週1回平日の半日、まさに修行という生活だ。 同期の人も個性豊

かなメンバーで、皆で毎日、しんどいながらも「全ての苦労が自分の為になる」

と、言い聞かせて頑張った。仕事はしんどかったが周りの人に恵まれて楽しい

事もある。そんな丁稚生活のはじまりであった。      

                                     次号へ続く

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第2話  ネクタイ紛失事件

ポン吉は、新入研修を終えて、新しい店へ配属された。その店は、

寝屋川市の大利(おおとし)商店街の中にある8坪ほどの路面店であった。 

店長は川口さんといって若手のホープで何と、年齢はポン吉と同じだった。

もう一 人、パートの女性がいて、大利店がオープンして以来、ずっと働い

ている、店の主のような長野さんという人だった。二人とも温和な性格で、

丁寧に指導してもらい、とても居心地が良く、前向きに頑張れた。

 

 午前中に通う宝石ビジネスの学校も、同じ業種、将来を目指す仲間が

 集まり、とても刺激になり、又、楽しんで勉強できた。 1クラスのみの18人

 で内7名が女性、年齢も10代~50代と幅広かった。ポン吉と同僚は同じ

 世代の3人組の女の子と良く話しをしたり、昼ご飯を食べたりして仲良くし

 ていたが、5月の終わり頃、その中の一人がポン吉の住所を聞きにきたので

 何も思わず門真市のボロアパートの住所を教えた。

 

6月に入り、ポン吉は23歳になった(6月4日が誕生日)その直後から

いつも話している女の子の態度がきつくなっていき、ついに、ある日呼び

出されてこう切り出された。「奥田君てプレゼントをもらっても何も言わないの?」 

 ポン吉は??? 何の事だかわからず聞き返すと、その子は涙目で

「誕生日のプレゼントにネクタイを送った」との事。でもポン吉には届いて

いない! 事情を説明していると他の女の子が集まって来て、ポン吉は

完全な悪者に・・・

 

よく考えてみると、ポン吉のボロアパートには部屋番号が無い。通路に

大きなポストがあるだけだ。隣、近所の部屋の住人に会ったことも無い。

だれかがネクタイを持って行ったとしか考えられない。 その事を伝えると、

半分は納得で、半分は疑いの表情で、とりあえずその場は収まった。 後日、

郵便局から「調べた結果、アパートまでは届けてます」との事。やっぱり誰か

持って行きやがった!一時的に悪者にされたが、結局は元通りの いつもの

仲間に戻ったのであった。でもそんなアパートってある?

                                    つづく

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第3話  アイドル歌手来店事件

ポン吉は、7月の終わりに、又、新しい店へ配属された。その店は、

豊中市の庄内という所にある

ショッピングセンターの中にある店だった。会社の方針で、1年目は

々な店で経験を積む為であった。  

今度の店は広くて商品も幅広く、店のスタッフも6名いて、前にいた

店とは勝手が違った。又、地域の特性というかお客さんの質も違っていた。

とても下町っぽい感じだった。

 

店のすぐ前には化粧品の店があって、きれいな女性がたくさんいた。

店長も次長も若かったので(3才上)時間が空くと、ポン吉と一緒に

化粧品店を観察していた。

ポン吉の店の女性スタッフは強力な人が2人いて、いつも売上を

競い合っていた。  ポン吉はその2人にそれぞれ可愛がってもらい、

販売の術を勉強させてもらった。

 

店にも慣れた8月の下旬の事だった。午後2時頃、店長は休憩中で

男性スタッフはポン吉ひとりだけの時、ポン吉はショウケースの掃除を

していた。すると前方から何か周りとは全然、雰囲気の違う女性

(すごく派手で、目だちまくり)が二人連れでこっちへ向かって来た。

よく見ると、親子みたいだけど、娘はすごくかわいい! ポン吉が

今まで見た事もない位、輝いているというか光っているというか(同じか?)

とにかく胸がドキドキする位であった。

 

その二人はポン吉の方へ向かって「ちょっと見せてね」と声を掛け、

店内をゆっくり回っていた。

ポン吉は応対しながら何かしゃべっていた(緊張して覚えていない)

心の中で「だれか芸能人にているなあ、だれだったかな」と考えていると、

ひらめいた!「そうだ、大西結花だ」」「でも良く似ているなあ…」 

会話の途中でポン吉はその人に「アイドルの大西結花に似てるっていわれませんか?」と

聞いてみた。するとビックリしたような顔をして 「お兄ちゃんおもしろい事言うなあ」 と笑い、

その後、帰って行った。

 

 後から「今の人、大西結花・本人やで、知らんの?庄内は地元やでえ」と

店のスタッフに笑われて、ポン吉は!! 絶句 いらん事を聞いてしまった。

めちゃくちゃ恥ずかしいー  

でも可愛かったなあ。                           つづく

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この自伝は私(以後 ポン吉)が大阪へ商売の修行に

行っていた時の色々な出来事を、毎回少しずつ紹介

するものです。(失敗や恥ずかしい事ばかりです…)

 

第4話  居眠り常習犯

 秋を迎え、ポン吉の丁稚生活も半年が過ぎた。豊中市

 庄内の店から伊丹市の駅前の新しくオープンする店へ

 移動になり、毎日遅くまで新店の開店準備に追われて

 すごく忙しかった。大変だったのは、店とポン吉のボロ

アパートが段々遠くなり、移動に余分な時間がかかり、

時間の余裕が無くなった事だった。

 

電車を乗り継いで伊丹の店から門真のボロアパートまで

1時間20分くらいかかるのだ。これにはまいったけれど

よく考えてみると、悪い事では無く、睡眠不足を補うのに

丁度いいという事で納得していた。ほんとに良く寝れた。

しかし…電車一本での移動ならずっと寝ていられるけど

乗り換えが2回あるので、ちゃんと起きて乗り換えなきゃ

いけない。 そこが問題だったのだ。

何が?と思うかもしれませんが、電車の中で寝るとすごく

気持ち良くなって、ついつい寝過ごしてしまうんです。

 

特に昼食後、宝石の専門学校から、伊丹の店まで向かう

途中が大変だった。JR大阪駅から宝塚線で伊丹までの

車中は30分位なので寝ていて、丁度良いところで起きな

きゃいけなくて辛かった。

 

一駅乗り越しなら、まだまし! 二駅、三駅は当たり前で

乗り越して、ハッと気がついて飛び起きる事が十数回あり

その度に、駅から店長(同年代)へ電話してあやまって

ばかりだった。(当時は携帯電話なんて無かったなぁ)

でも、乗り過ごして、返りの電車を待つ間は自分の時間

が出来た気がして何かうれしかった。 (さぼってるでー)

今、思うと、乗り越して一番多く降りた駅がニ駅先の

川西・池田という駅で、その駅のホームはすごく懐かしい

そして、何と川西はポン吉の嫁さんの実家がある街だった

のである。しかしポン吉はまだ嫁さんとは出合っていなかった。

これもこの先の不思議な縁に続くのであった。

 

次号へつづく

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この自伝は私(以後 ポン吉)が大阪へ商売の修行に

行っていた時の色々な出来事を、毎回少しずつ紹介

するものです。(失敗や恥ずかしい事ばかりです…)

 

第5話  あこがれの神戸へ

伊丹駅前の新店がついにオープンした。今から思えば

バブルの時期で宝石が日用品の様に売れていく時期

で、オープンの1ヶ月は無茶苦茶忙しかった。でもオー

プン景気がひと段落すると静かーな店になっていて、

毎日売上を上げるのが大変であった。ポン吉は店長

補佐で雑用は全て任され忙しい毎日を送っていた。

 

年が明け、1月。今でも忘れない「昭和天皇の崩御」

その日、ニュースが流れたのは午後だったような気が

するが、その後、本部から電話があって「店を閉めろ」

という指示が出たので夕方前には閉店していた。

喪に服すという事だが、普段、時間の無いポン吉にと

っては不謹慎だがうれしい半休となった。そしてポン吉

は帰りの途中、何と店長と大阪・京橋の焼肉屋でたらふ

く肉を食べて良い気分で帰ったのだった。

 

そして数日後、何と社長から電話が入って「奥田君、

来週から神戸の店へ行ってくれ」という指示が出た。

最初は?という感じだったが良く話しを聞いてみると

新神戸駅前の最先端のショッピングエリアの店らしい

ポン吉は何かワクワクして来た。「神戸かぁ」オシャレで

きれいな街というイメージが膨らみ色々な想像をしてみ

た。「どんな店だろう」「話によるとすごい話題のショッピン

グセンターって聞いてるけど…」「きれいなお姉ちゃんが

いっぱいいるらしい」と頭がどんどん大きくなっていった。

 

ポン吉はいよいよ神戸へ行く事になった。新しい店は

「新神戸・オーパ」というファッション・グルメ・ホテル・

ディスコなどが集まった当時としては最先端のショッピング

ビルの3階・ガラス張りのすごいオシャレな店だった。

田舎者のポン吉にとって、この神戸での体験は初めて

ずくしで、毎日が新鮮だった。「神戸弁」も少しづつ覚え

にわか神戸人を気取っていたのだった。   

                                                            つづく

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第6話  禁断の恋!?

「新神戸オーパ」というショッピングセンターの店の

副店長になったポン吉は辛いながらも充実した毎日を

送っていた。 ある日、同じ宝石ビジネススクールで学

ぶ女の子がアルバイトとして入って来た。(第2話で出て

来たポン吉にネクタイを贈ってくれた女の子だ)

ポン吉はその子に特に恋愛感情があるわけでなく、仲間として、

勉強も仕事も仲良くやっていた。

 

ポン吉は、週末は開店から10時の閉店まで勤務なので

昼食は従業員休憩室で取っていた。そしてオープン以来、

休憩室で会う女性がとても気になっていた。

ポン吉も若い盛りなので、行く店、行く店で気になる女性

はいたが、今回のはチョット違う、何かいい感じがしていた。

その女性は笑顔がとても可愛くて、ニコニコしている、

ポン吉のタイプだったのだ。

でも話し掛けるチャンスがなかなか来ない。それは、

休憩時間がアルバイトの女の子と一緒で、余計な

チェックをされるのがイヤだったから… (お目付け役みたい)

 

なかなか話し掛けるチャンスが無かった。

 

ある日、ポン吉にチャンスが巡って来た。アルバイトの女

の子は休み。昼の休憩時間が待ち遠しかった。今日こそ

話しかけるぞ!と気合いを入れ休憩室へ。 いた!

多分、端から見たら挙動不審だったと思う。でも近づいて

行って、ついに声を掛けた。  ニコッと笑ってくれた。ヤッター!! 

 何を話したかは覚えていない。でも

1つだけショックな事を覚えている。 その女性は…・・

ライバル店の関係者だったのだあー。 折角、話が出来る様に

なったのになあ。 でもそんな事関係ないさと

ポン吉は開き直り、会えば話をするようにしていたのだった。 

それぞれの店の事や自分の事、とりとめも無い話

をする友達みたいな感じだった。 でも話をするのにも

ポン吉のお目付け役から逃れないといけない禁断?の

恋の一歩手前だった。         

                                                       つづく

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第7話  嵐を呼ぶ女性スタッフ登場

「新神戸オーパ」というショッピングセンターの店の

副店長になったポン吉は相変わらず、辛いながらも充実

した毎日を送っていた。

オープンして2ヶ月程したある日、新しい女性スタッフが

配属されてきた。これがビックリ!モデルのようなキレイ

な女の子だった。中川さんという方で年令はポン吉より

2つ下で、気が強いけど飾らない気さくな女の子だった。

  店長もポン吉もウキウキで仕事を教えて戦力になるのを

  楽しみにしていた。

 

ポン吉はと言えば、気になる女性と休憩室で時々話し

をする位で、なかなかその先へ進展しない、もどかしい

日々だった。 しかし、それどころではなくなって来た。

ポン吉は中川さんと一緒に休憩に行く事が多く、又、

中川さんは良くしゃべるので、ポン吉は気になっている

女性と話す機会がほとんど無くなっていた。更に、

中川さんがポン吉に弁当を作って来てくれた時に

気を使って誉めたら、頻繁に弁当を作ってきてくれる様になった。

同じ宝石ビジネススクール同級生のスタッフの女の子や、

店長も怪しげな目で見ているのがわかり、何かイヤな

  予感がしていた。

 

ポン吉は店のスタッフと恋愛するつもりは無かったので

店のスタッフとして親しい仲でも距離は置いていたが、

何かしら女性同士の間に競争意識みたいなものがあり、

ポン吉への恋愛感情というよりは、女性同士の戦いみたいだった。 

ポン吉は同級生のスタッフの女の子と中川さんの間に入って

気苦労が絶えなかった。(つらい…)

二人の女性が別々な時は、店の雰囲気は良いが、店長が居なくて、

ポン吉と女性二人の時はビシバシと火花が散っていた。 

ポン吉はこれではまずいと思い、それぞれ個別に話しをして、

ある程度は分かってもらえたが、このままでは「ヤバイ」 

いつか嵐が来る! そんな感じだった。                 

                              つづく

 

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